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高熱隧道 [本・映画・TV・ドラマ・音楽]

以前、黒部の太陽を紹介しましたが、今回も黒部の隧道(トンネル)[本]の紹介です。

黒部の太陽はクロヨンの建設に関する昭和30年代の物語ですが、この高熱隧道は更に時代を遡る昭和10年代つまり戦争の時代隧道建設の壮絶な物語です。

高熱隧道 (新潮文庫)

高熱隧道 (新潮文庫)

  • 作者: 吉村 昭
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1975/10
  • メディア: 文庫

黒部川第四発電所の下流に仙人谷ダムとそのダムから取水して発電している黒部川第三発電所があるのですが、このダムの建設のための隧道が舞台です。

過酷な自然との戦いに挑むトンネル屋の意地とプライドや、日常的に死と隣り合わせにある技師と作業員の人間模様が決して過度に飾られることのない文体で描かれ、一気に読むことができます。

岩盤が165度にも達し、ダイナマイトが自然発火したり、あまりにも高熱で作業ができないため、作業員に黒部川の冷水をかけ、また、その冷水の掛け屋にも後ろの掛け屋が水をかける数珠繋ぎの話や、泡雪崩という爆発的な威力を持った雪崩により、鉄筋コンクリートの宿舎が500m以上も吹き飛ばされる自然の脅威が併せて描かれています。

最終的には3百人以上の方が亡くなることになるのですが、以前観たプロジェクトX「厳冬 黒四ダムに挑む」で、間組監督者の中村さんが「尊きみはしらに捧ぐ」像で

「このひとたちが働いてくれなければ、この仕事はできない。このひとたちのおかげですよ。」

としみじみ語られていたのを思い出しました。 

機会があれば、皆さんも是非一度お読み下さい。


黒部ルート見学会に参加すればこのトンネルを通ることができます。また、黒部川第四発電所の見学も併せてできます。


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